【読書感想】お茶壺道中
23/08/26_読破。梶ようこ/著
毎年行われる御茶壷道中の行列を見るのを楽しみにしている、宇治出身の仁吉は、日本橋の葉茶屋・森山園の奉公人だ。
今年も、間もなくその行列がやってこようとしていた。仁吉は十五歳となり、大旦那の太兵衛のもと元服を無事を終え『仁太郎』の名を与えられたが、孫娘で内儀のお徳は、なにかと彼に厳しくあたる。そんな矢先に仁太郎は、太兵衛に連れられて、旗本の阿部正外の屋敷を訪ねる事になる──。阿部との出逢いが、日本一の葉茶屋を目指す仁太郎の人生を、大きく変えようとしていた。
江戸時代、徳川幕府が将軍御用の宇治茶を茶壺に入れて、大切に江戸まで運んだ行事が『お茶壺道中』です。毎年新茶の季節になると、宇治から茶葉の生育状況の報告を受け、茶壺付添人ら10数名が茶壺と共に江戸を出発し、茶壺に茶詰めを行ない、それを江戸に持ち帰った行事です。
主人公仁吉は、宇治の茶農家に生まれ、日本橋の森山園で奉公している少年です。茶葉の匂い
を嗅ぎ分ける能力を持ち、伝統ある宇治茶を
売る事を誇りに思っています。
仁吉はその実直で類稀な能力ゆえ、隠居している森山園の太兵衛から可愛がられており、それ
故に他の奉公人や孫娘のお徳からは疎まれて
おり、15歳の元服の儀も、仁吉が楽しみにしていた『お茶壺道中』の日にワザと被せて行われたり、様々な嫌がらせを受けます。
孫娘のお徳は、両親が死んだ際のいざこざから、祖父の太兵衛を嫌っており、事ある毎
太兵衛に刃向かい、祖父を無理矢理隠居させ、
入婿で菓子屋のボンボンの旦那と好き勝手します。
ある日、太兵衛に伴い、太兵衛の碁敵である旗本の阿部正外の屋敷を訪れ、阿部に気に入られ、更にそこで働く武家上がりの娘、きよと運命的な出会いを果たします。
その後、卒中気味の太兵衛は、息子が妾に産ませ、大切に育てて来た利吉(お徳にとって異母兄弟)を仁吉に託し、将来的に、利吉と森山園の2号店を横浜に出す事を伝えてこの世を去ります。
利吉と横浜に移った仁太郎は、移り行く日本と
外国人との外交問題や、倒幕の動きに次第に
巻き込まれて行き、森山園は、入婿のお徳の
旦那のこさえた借金で、ピンチを迎え…。
大変盛りだくさんな内容で、お茶について
勉強になりました。お茶って、今の形に
するまでは、長期輸送に向かない形だったん
ですねぇ。考えた事もなかったわー。と
賢くなった気分です(^◇^;)
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