定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】トランスファー

23/06/26_読破。中江有里/著

30歳の大倉玉青。派遣で大手通信系企業の受付として働く。大学時代に、演劇サークルに所属。愛読書の『走れメロス』をバッグに放り込み、苦行のような満員電車に乗り職場へ通うのは、ただ生活のためだけ。その生活が空虚で、何のために生きているのかわからない。彼女は、5年前の自分の選択に端を発するある「秘密」を抱え、その秘密に関わる者の存在を「希望」と感じながら、日々を過ごしていたが。


主人公の大倉玉青は、二十代前半に、父親のコネで地元の建設会社の事務員をしていたが、

その際、下請けの電気工事士と付き合い、身籠る。妊娠当初はいい返事をくれていた男は、5ヶ月過ぎて堕胎できなくなった頃、姿を消した。

後に残ったのは、お腹の子と、それを受け入れない両親だった。

数年後、父親は死去、母親は若年認知症で、金銭的に世話しきれなくなった玉青は、大学時代の先輩と出会い、付き合い出す。彼は幼少期、親に愛されず、玉青に母を求めるDV男だったが、母親の入院費やら世話してくれる為、別れることが出来ない。

そんなある日、通勤列車で事故に遭った玉青は

意識不明で病院に担ぎ込まれ、妹の洋海に身体を貸す事になる。初めて知った、自分の妹、洋海は、体が弱く、ずっと入院したまま、世の中を知らず、自由になる身体を求めていた。玉青は、洋海の求めるまま、自分の身体を洋海に貸すが…。


30過ぎるまで妹の存在を悟られない様にした

両親が凄くないですか?!というツッコミは

無しなんだろうか。

ただ、生まれてずっと病院暮らしだったらしい洋海が、初めて一般の食べ物を食べ、友人を作り、DVであろうとも玉青の彼氏に恋するのは、

いじらしくて泣けました。