定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】ぷくぷく

23/05/30_読破。森沢明夫/著
恋に臆病なイズミと、そんな彼女をいつも見つめているボク。そこへ新たな男性の存在が。
果たしてイズミの凍った心を溶かす恋は始まるのか…………。


4章からなる作品で、3章以外の語り手はボク。3章のみイズミが語り手。
『ボク』の名前は『ユキ』頭に白い模様のある琉金。
ボクは物心がついた時、養魚場で飼育されていて、仲間達から虐められていた。
ボクの頭には生まれつき色素が抜け落ちて白い模様があったので、周りのみんなから
つっつかれたり、追っかけ回されたり、餌を横取りされたり、意地悪されていた。
ボクは、皆と違う頭の部分が見えない様にいつも水面スレスレを泳いでいた。
ある日ボクは、和金の小さい子たちと共に、金魚すくいの水槽に入れられた。
慌てて逃げるボク。
でも、そんなボクを気に入って、何度も何度も掬おうとした子がいた。
それが『イズミ』だった。
ボクはイズミのアパートの窓際で、丸い金魚鉢の中で暮らすことになった。


ボクの日常は退屈で、いつも窓から外を見て妄想して過ごす。ボクはイズミが大好きで、
いつもイズミとお話をしたいと思っていた。イズミを窓から見守っていた。
ある時、イズミに恋人ができた。恋人の名前は太陽さん。
イズミはボクの餌を忘れたり、水槽のお水を取り替える回数が少なくなっていった…。
けれども、ボクはイズミの事を見守り続けた。いつか、イズミに僕の気持ちが
伝わると思って。
そしたら、ある日イズミが泣きながら帰ってきた。
『私、太陽さんにふられちゃった…』
ボクの代わりにイズミの友達チーコがやって来て、イズミを慰めてくれた。
イズミは子供の頃に、胸に火傷を負ってしまって、それを理由にからかわれたり
虐められたりしていた。それが心の傷になって、太陽さんとの関係が進まず、
太陽さんから『少し距離を置こう』と言われてしまったんだって。
でも、チーコは『それは別れた訳じゃないよ』と、イズミを励ました。
しばらくして、イズミは太陽さんと仲直りできたんだ……。



最初は、なんだか『ボク』の一人称が読みづらくて、苦手だなーと思ってたんですが、
読み始めたら止まらない!恋愛に夢中なイズミが『ボク』の水槽のお水を替えなく
なって、『ボク』のお腹に病気の斑点ができちゃったシーンでは、思わず(´;ω;`)
あと、終盤であっと驚く仕掛けがあって、
『ボク』の語りで進んでいる時にイズミは二人の男性から言い寄られているよう
なのですが、終盤で、太陽さんがイズミの部屋にやってきた時『あれ??』と
なります(^o^;)
少なくとも、私はずっと騙されてました。


何だか読み終わった後にほんわかとなるいいお話でした!!