定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】ワラグル

23/05/22_読破。浜口倫太郎/著
年末の漫才日本一を決めるKOM(キングオブ漫才)。敗者復活戦で敗れた上に
コンビも解散してしまう。それでも漫才を続けたかった凛太は、死神の異名を
取る謎の構成作家ラリーの元を訪れるが…。


崖っぷちの中堅漫才コンビ『リンゴサーカス』のボケ担当の加瀬凛太。
年末の漫才日本一を決めるKOM(キングオブ漫才の略)の敗者復活戦で敗れ、
決勝進出への一縷の望みを絶たれてしまい、冬空の下、絶望していた。更に
『リンゴサーカス』の相方は、今年のKOM決勝進出がダメなら実家の商売を継ぐ、
と公言していた為、コンビも解散となってしまう。
漫才をどうしても続けたかった凛太に、以前KOM王者となった先輩芸人から
「とある」情報が寄せられる。死神と異名を取る謎の作家・ラリーがコーチに
付けば、KOMで優勝出来るという。そして、自分も過去ラリーに指示して貰い
王者になれた、という話だった。半信半疑でラリーの元を訪れた凛太は、ラリーの
指示を受けた上で、来年のKOMで決勝に残れなければ芸人を辞めろ、と言われる。


凛汰の後輩『キングガン』の片割れ・マルコは、『キングガン』の相方・鹿田との
仲が悪く、思った様にコンビも世間で売れず焦っていた。そんな折、マルコは
舞台上で鹿田と喧嘩をしてしまい、4ヶ月の舞台出演禁止を言い渡される。
それでは年末のKOMに間に合わなくなってしまう…。
焦ったマルコに、マネージャーの吹石小鳥がラリーから指示を受ける様言ってくる。
ラリーからの指示を仰げば、KOMの決勝進出が可能になると言うのだ。
半信半疑ながらも退路を断たれたマルコは鹿田と共に、ラリーから教えを受ける。
マルコにはKOMで優勝したい理由があった。
マルコの父親は昔、借金をこさえ、家族に迷惑をかけない為に家族を置いて
家を出たきり。家には母と妹しかおらず、なんとか芸人として一旗揚げ、借金を
返して家族を元通りにしたいと密かに願っていたのだった。


大学生の興田文吾は、クリスマスの日に立ち寄ったコンビニで理想の相手・梓と出会う。
梓はお笑い好きで将来は放送作家になるのが夢だと語る。付き合い出した二人は、共に
梓の夢を叶えようと奮闘するが…。



お笑い芸人さんと放送作家を目指す女の子の話。特に、凛汰とマルコは先輩後輩の
間柄でちょくちょく絡んでくるから、解りやすかったんだけど、梓と文吾(放送
作家チーム)が、どう関係してくるか想像できなくてヤキモキしてたら、ラストで
全部繋がります!
ラリーさんはいっつも舞台裏で若手芸人ネタを無表情で見ている人で、全身黒ずくめ
の服装に総白髪、顔には目立つ傷があり、若手芸人の間では『死神』と呼ばれています。
この人と、明るくて可愛くて頑張り屋のマネージャー・小鳥ちゃんが、最後の最後
で『あ~!そう繋がるのか!!』と関心しきり。


とりあえず、人気芸人さんって凄いんだな…と思わずにいられない、お笑い界の
裏話的な小説。純粋に、自分の知らない世界なので面白かった一作です。