定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】羊は安らかに草を食み

23/05/12_読破。宇佐美まこと/著
認知症を患い、日毎に記憶が失われゆく老女には、それでも消せない『秘密』があった。老女の人生を遡る最後の旅が浮かび上がらせた壮絶な真実とは…………。


益恵の元俳句仲間のアイと富士子は、益恵の夫の三千男から『益恵の心のつかえを取る』旅へ益恵を連れていって欲しいと依頼される。益恵は認知症を患っており、日々記憶を失っていく中、何か過去に残した『苦しみ』を背負っている。それを益恵の過去を振り返る旅で、昇華させてあげたいという三千男。
益恵は近くにいる誰にも昔のことは語らなかった為、憶測でしか無いが『益恵がかつて、満州からの引揚げ者だった事が関係しているのだろう』と三千男は語る。こうして、アイと富士子と益恵はおそらく人生で最後になるであろう旅に出る。


三人は益恵の思い出の地を辿る。大津、松山、五島列島……。
旅先で訪れた益恵の友人達の話から、益恵の人生が想像以上に過酷だった事を知るアイと富士子。自分達の知る『まあさん』と過去の益恵が結びつかない程に、その生い立ちは壮絶な物だった。


敗戦後の満州開拓団の逃避行中に家族を失い、孤児となる。その後は一人生きる為に必死だった。そんな中、同じ境遇の孤児の佳代と出会い、共に苦境を乗り越え、益恵は日本に戻ってくる。


日本に帰国してからもその人生は平穏ではない。最初の夫は戦争後遺症を持ち、赤ん坊の声を聞くと急に錯乱し、赤ん坊を殺そうと暴れる男だった。そんな結婚生活で益恵は妊娠し、出産するが、一人娘の明子を事故で亡くしてしまう。それでも夫を懸命に支え、夫の死後に上京し、三千男と出会い再婚した。


認知症になった益恵が良く口にする『カヨちゃん』という人物にも、他の友人同様に手紙を送って連絡を取ろうとするアイだが、佳代からの連絡はない。会えなくても良いから、思い出の地には連れて行こうと、佳代の家を尋ねると、運良く佳代に会える事に。そして、佳代と関係を重ねていくうちに、二人は驚愕の真実を知る事となる。



益恵さんの戦争体験が激しすぎる……_| ̄|○
なんか、この本を読んでいると、日本で終戦を迎えたほうがすんごくマシに見えてくる程酷い。実際にこんな経験をしてきた人達がいるんだろうな、と思うと自分なんか全然苦労知らずで我儘で反省します。
益恵さんだけでなく、アイさんは詐欺でほぼほぼ旦那からの遺産巻き上げられた上、バカ息子とバカ娘から遺産のやり取りとか勝手に決められてるし、富士子さんは子宮がんでもう長くないのにそれを隠して旅行してます。
あと三十年後の自分を想像してみるけど(そんなに生きたくないけど)、何があるか分からない…。怖すぎる。


とりあえず、最後のオチが吃驚します。読んで見る価値アリです!