定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】四日間家族

23/05/07_読破。川瀬七緒/著
自殺を決意した夏美。ネットで繫がった自殺願望を持つ3人と車で山奥へ向かうが、夜更けの車中、練炭に着火しようとした時、森の奥から赤ん坊の泣き声が聞こえる。4人は、赤ん坊を一時的に保護する事となるが、直ぐに母親を名乗る女から『謎の四人組に赤ん坊を連れ去られた』とSNS上で、4人の写真と情報を晒されてしまう。逃亡者の身となった四人は、汚名を返上すべく、行動を起こす。


集団自殺を決行しようとネットを介して集まった四人は山奥へ向かう。
車を提供し、ドライバー役を務める長谷部康夫60歳。江戸川区でスナックを営む寺内千代子73歳。経歴不詳の高校生、丹波陸斗16歳。そして28歳の坂崎夏美。
四人が車中で揉めていたその時、新たに山奥に赤いミニバンがやって来る。運転していたのは女で、女は大きなリュックを山中に捨てて去る。リュックに入っていたのは、生後三ヶ月程の赤ん坊。思わず赤ん坊を保護してしまう四人組。


千代子は、コロナ禍で感染対策をろくにせず自分のスナックの闇営業を続け、クラスタを発生させ、コロナに罹患した客が六人も亡くなった事から、週刊誌やSNS上で個人情報をさらされる等の地獄を経験していた。ついで、亡くなった客の遺族達からは、一人頭四千四百万円の賠償金を求められていた。


陸斗は名前のみで、自分の身の上については決して語らない。


長谷部は、経営していた鉄工所を潰してしまい、連帯保証人となっている妹に生命保険の金を残す為、自死を決めていた。


夏美は、地方の共同体をターゲットとする『サークルクラッシャー』だ。他者を自分の意のままに動かす事を無常の喜びとして、多くの人達から恨みを買っていた。夏美が自死を選んだのは、地元愛の以上に強いヤクザから執拗に追われ、逃げる事に疲れたから。


赤ん坊を助けた筈の四人は、何故か赤ん坊の誘拐犯に仕立てられ、社会から『悪』として追い詰められて行く事に…。SNSで上げられた母親を名乗る女の投稿から、どんどん四人の身の上が晒され、包囲を狭められていく四人。
自分達と赤ん坊を救う方法は、自分達を嵌めた人間達を特定して反撃するしかない。
八方塞がりの中、四人は自らの能力を使い、どんどん真犯人の元へ近づいていく…。



久々の川瀬七緒。面白かったです。
最初の行が、藤崎翔の『OJOGIWA』みたいだな~、と思って読んだら全然違いました。赤ん坊に三郎と名前をつけ、可愛がる四人はどんどん人間的に成長していく過程が
読んでて良いです。願わくば、三郎君がちゃんと育っていけますように、と作品に描かれない裏まで考えてしまいました。