定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】傑作はまだ

23/05/08_読破。瀬尾まいこ/著
引きこもり作家の前に突然現れた初対面の息子。一人暮らしに慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす息子。奇妙な同居生活によって起こる父子の関係の変化とは…。


そこそこ売れている小説家、加賀野は50歳。大学卒業後、作家となり実家にも一切帰らず、ただ一人引き籠もって執筆活動する生活を続けていた。そんな彼のもとにある日、25歳になる実の息子が訪ねてくる。息子の智は母親の元で育てられていた為、加賀野とは生まれてから一度も会ったことがない(智の母親と結婚すらしていない)。困惑する加賀野に智は『しばらく家に住ませて』と、加賀野の家に転がり込む。


加賀野と智の関係性は、親子ではあるがほぼほぼ他人。
加賀野は智の母親の美月と若い時分に勢いで寝てしまい、美月を妊娠させてしまう。
責任を取ろうという気もない加賀野に対し、美月は『一人で産んで育てるから、養育費を月々10万忘れずに払え』と言い放つ。加賀野はその言葉を受け、本当に25年間振込をするだけで、智や美月のことを振り返りもせず、引きこもり作家を続けていた。美月からは毎月智の写真が送られてくる(メッセージなど一切なし)ので、なんとなく智の成長を知っていた加賀野。それ故に、加賀野も智も『親子』という関係性から程遠い生活を行う。


智は加賀野の近所のローソンでバイトをしており、加賀野に『からあげクン』をテイクアウトしたり、スタバに連れて行ったり、町内会の行事に参加させたり、と色々と現世を教えていく。今まで人と全く関わりを持たずに行きていた加賀野は智のお陰で色々と人のことを考えるようになっていく。
1ヶ月程経過し、お互いに気心がしれてきたと加賀野が思えてきた頃、智は家に帰ると言う。慌てた加賀野は、智を2日間だけ引き止めるが…。



妊娠させた美月に対して『まったく好きでもない女と結婚しなきゃいけない』とか、送られてくる智の写真をただ見ているだけ、とか…。人間として全くダメだ!と序盤の加賀野さんがあまりに酷すぎて、読んでいてイライラしました!
智が同居しているのに、病気で寝込んでいることも知らず、どの部屋で寝泊まりしているかすら知らず、布団や食器すら智の分がなかったことに気づかない男です。かなりのポンコツ50歳です(歳近いな、オイ)
智と一緒に住みだし、やっとご近所のじいちゃんばあちゃんとも近所付き合いをしたり、社会性が身について『人間』になった感じで、ほっと出来るように。
最後のあたりでは、美月の心の広さに頭が下がる思いですよ!
ほっこりできるいい話。私は好きです、こういうお話!オススメ!