定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】子供は怖い夢を見る

23/04/30_読破。宇佐美まこと/著
虐待によって死んでしまった妹を生き返らせてくれたのは、航のクラスメイトの蒼人の家族。小学生の航は再び妹の命を奪われない様に、蒼人の家族に妹を託し、彼等はそのまま姿を消した。22年後、成長した航は奇跡的に妹と再会する。数年蒼人達の家族と一緒に暮らした妹は、蒼人達は不老の魔族であり、自分は生き返ったのではなく、そのうち腐って死ぬと言うが…。


無一文で町を彷徨っていた母子に差し出された救いの手。それは新興宗教だった。身重の母と子は新興宗教の施設に身を寄せることとなる。子供の名前は航。宗教施設で育っているが故に、航は学校で酷く虐められ、教師達からも見放されていた。そんなある日、航のクラスに転校してきた金髪で青い目を持つ蒼人。航の級友達は蒼人に興味を示すが、蒼人は誰にも興味も関心も示さず、結果的に航と同じく、学級で孤立する。しかし、そんな中で、航と蒼人は友情を育んでいく。蒼人と親しくなるうちに、航は蒼人の家族とも親しくなるが、ある時、蒼人と二人で飼っていた犬を苛めっ子により殺されてしまう。蒼人は死んだ犬を連れ帰り、祖父の喜連から生き返らせてもらう。
そんな中、航の妹が宗教施設内で生まれ、満里奈と名付けられる。航にとって掛け替えの無い愛しい存在となった満里奈は、教祖達から新興宗教のマスコットとして扱われるようになる。そしてある日、高熱で苦しむ満里奈を、教祖達は自分達の
扱う胡散臭い薬で治そうとした挙げ句、死なせてしまう。焦った教祖は航の母に命じ、満里奈を処分して来いと命令する。
すきを見て満里奈を奪還した航は、蒼人の元へ行き、生き返られて欲しいと頼む。そして、無事生還した満里奈を蒼人の家族に託し、自分は警察に保護され、児童相談所で生きる事となる。


22年後、成長した航は小さな町の惣菜屋に勤め、満里奈の事を心の隅に置き、つましく生きていた。そんな折、豪放磊落で奇妙な男、ガオと知り合う。そしてガオの勤めている会社には、満里奈が名前を変えて勤めていた…。兄と妹という立場を確認した二人だったが、満里奈はやがて訪れる肉体の滅びを恐れていた。喜連が施す『生き返らせる』術は、実は『生きているように見せかける』術で、本当は死んでいる。そして、時が来ると、腐って崩れ落ちるのだという…。
そして、昔の姿のままの蒼人が航の前に姿を表し…。



読んでいて何となく気づいてはいたけど、航が…(;_;)
っていうか、苛めっ子のイジメが酷すぎる。喜連がいなかったら、皆犯罪者だよ!もう、っていう嫌な話。宗教施設で至れり尽くせりの母親は、人間として腐っていくし、航の人生が切なすぎる!
永遠の8歳児、蒼人も可哀想だし、良いことのない話_| ̄|○
宇佐美さんのファンタジー小説という意味では貴重です。