定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】満天のゴール

23/04/28_読破。藤岡陽子/著
星空が美しい医療過疎地へ戻ってきたシングルマザーの奈緒は、地元医療で奮闘する医師、三上と出会う。そして、同じ集落にひっそりと住む早川という老女と懇意になる。3人の出会いが、それぞれの人生を変えてゆく…。


33歳になる内山奈緒はホテルマンの夫と小学生の息子_涼介を持つ専業主婦。人生順風満帆だと思っていたある日、夫が浮気している事を知り、問いただすと夫から離婚を切り出される。離婚したくない奈緒は息子が夏休みなのを良い事に、疎遠にしていた故郷に戻る。久しぶりに訪れた故郷は過疎化が進み、ゴーストタウン化していた。
実家に帰ったばかりなのに、父は交通事故に遭遇し、地元の病院に入院する事になり、父親を診てくれた医師_三上と出会う。三上は個人的に訪問診療するなど、地域医療に奮闘する真面目な医師だった。
そんなある日、奈緒と涼介は、同じ集落の早川という老女が意識を失って倒れているのを救出する。早川は世捨て人の様に誰とも付き合わず、ひっそりと暮らしていた。何度か早川と遭遇するうちに次第に会話を交わすようになった奈緒親子と早川。だが、早川は生きる希望をなくしており、『早く死んだ息子のもとに行きたい…』という。


その後、晴れて夫と離婚しシングルマザーとなった奈緒は、昔看護師免許を取得していたので、川上と同じ病院で働く事になり、次第に三上と親しくなるが、三上にはどこか影があり、三上の過去が気になるようになる。


ある日、早川がまたしても倒れているのを救出した三上・奈緒・涼介は、早川が日記を燃やそうとしていたと知る。『今でも会いたい人が1人だけいる』という早川の言葉に、涼介が『俺がばあちゃんの会いたい人を見つける』と宣言する。そんな涼介に、早川は日記を読むことを許す。そして、奈緒と涼介は、早川が会いたがっている人物が誰かが解るのだがそれは……。


過疎化した村の地域医療の話が深い。88歳(うろ覚え)で山奥で一人で住むトクさんは、朝晩宅配でご飯が届く以外はずっと一人。三上先生が診療しに来てくれると、トクさんが頑張ったぶん、と星型のシールを貰って表に貼ります。そして、トクさんは『また一歩、ゴールに近づいた』と喜ぶのです。そうやって徐々にやってくる死を受け入れる…とか、まだ
あまり考えたくないけど近い将来のお話なんですよね…。
あと、涼介が『早く息子のもとに行きたい。行って息子に会いたい』と死にたがる早川に言った台詞が物凄く良い!
『ばあちゃん知らないのか?良い子は死んだら天国に行くんだぜ。ばあちゃんが(自殺で)死んでも、息子には会えないぜ(自殺 → 地獄行きだから)』ホント、お前良い子だな!!!離婚届持って追ってきた父親を追い返したり。こんな息子ほしいわ!という訳で、涼介の
活躍も、だいぶこの本の見所です!
なんか、この話、つい最近NHKでドラマやったみたいなので、そっちで見ても良いかも。