定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】月の光の届く距離

23/04/14_読破。宇佐美まこと/著
高校生の美優は予期せぬ妊娠をし、奥多摩にある『グリーンゲイブルズ』で働く事に。そこでは、ある兄妹が高齢の母親と暮らしていた。そして同時に彼等は深刻な事情を抱えた子供達の里親ととなり、育てていた。そんな彼等にも、運命に翻弄され、絶望を乗り超えた苦しい過去があった。


高校生の美優は、ある日自分が妊娠している事を知るが、妊娠した事実を知った彼氏は逃げ、両親はただただ怒る。美優の両親は、美優を県外の親戚の家に預けて子供を産ませ、生まれた子を里子に出すと言う。反発した美優はアテもなく家を飛び出した先で、NPO団体の千沙と出会う。千沙の紹介で奥多摩にあるゲストハウス『グリーンゲイブルズ』に預けられた美優。グリーンゲイブルズを営むのは明良と華南子という兄妹。2人は親に捨てられた子や事情を抱えた子たちの里親となって育てていた。
グリーンゲイブルズで暮らすうちに、美優の心に疑問が生じる。
『何故この兄妹は、互いに結婚もせず養子を育てているのか?』


明良は幼少期に母親から捨てられ、父親から育てられる。その父親は、女から女へと飛び回る生活力を持たない男。長年、父親と生活を共にするも、交際している女と別れると次の女のもとに引っ越す、という生活に明良は嫌気を覚えていた。
高校生になった明良は、父親の女と折り合いがつかず、歌舞伎町へと日参し、暇をつぶしていた。そんな中で出会った少女が母親の男に児童ポルノの餌食とされている事を知り、救い出そうとするが、相手を刺してしまう。


華南子は有名デザイナーの母親の元に生まれ、片親だが何不自由なく暮らしていた。高校生の時、ある事件をきっかけに、母親から自分が『精子提供で出来た子』だと告げられる。大学生になった華南子は、4年生の明良と知り合う。お互いに惹かれ合い、恋に落ちる二人。大学を卒業した明良と華南子は、結婚しようとするが、あることをきっかけに、重大な事実を知らされることになる…。


どんな本もそうなのですが、読み手の境遇に一番近い登場人物に感情移入しますよね。私は、美優の母親サイドかなぁ。
美優の両親は、子供を生んで育てると言い張る美優を持て余し、他人に託しますけど、私だったらどうするかなぁ。
少なくとも、彼氏を無罪放免にしないな。ついで、子供は諦めさせたいなぁ…(←冷たくてすみません)先々苦労するのが分かっていて、子供を産まさせてはあげられないなぁ…。
やっぱり、子供にだけは辛い人生を歩ませたくないもんで……(・_・;)


作者さん曰く、この本は『展望塔のラプンツェル』の続きの話なんですって。
彼氏に裏切られ、一人で子供を生んで育てる決心をした美優。結婚はせずとも家族となり、里子を育てる明良と華南子。夫はいらないが子供が欲しい事から精子提供によって子供を生んだ華南子の母、類子。
子供とは。そして家族とはなんだろうと考えさせられる一冊です。