定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】貌なし

23/04/07_読破。嶋中潤/著
突然父が失踪した。行方を追う娘は、父が25年前の殺人事件の法廷で被告に有利な証言をしていたという事実を知る。娘は『無戸籍』という不条理な境遇に生まれた父親の、あまりにも過酷で無慈悲な人生と向き合う。


主人公の香は、母と妹を亡くし、家族は義理の父親の純一のみ。親子仲も悪くなかった。その父親がある日忽然と姿を消す。警察は頼りにならず、自分で父親の行方を探す香は、父が昔、殺人事件の証人として出廷し、被告に有利な証言をしていた事を知る。父が失踪した理由と関わりがあるかもしれない、と事件の関係者を追う内に見えてくる父親の過去。


この本は、香が父親を探す現代編と父親の過去編が交互に描かれる。父親のパートでは、
純一が中学卒業とともに、自身が『無戸籍児』であることを知る。『無戸籍児』であるが故に、高校進学を諦めた純一は、新聞配達を始めるが、会社から『全員バイクで配る方針となった為、免許を取ってほしい』と言われる。困った純一は、社長に『無戸籍』である事を伝えるが、その事で解雇されてしまう。戸籍が必要な純一は、ある日闇ブローカーから『星野美雪』という戸籍を買い、美雪という人間になりすます。
純一は、その後行き着いた先のイタリアンレストランで拾われ、料理人を目指す。居場所を確保できた純一だったが『戸籍』を買ったにも関わらず、その不安はいつまでも拭えない。
そんなある日、バイトのコブ付き女性店員と仲良くなる純一だったが、女性店員の娘_香は小学校に通っていない様子だった。自分と同じ匂いを感じたのか、純一は香を救う為に覚悟を決める…。


この本を読んで、普通に日本で生まれてきた子供でも、父親がクソで(失礼(^_^;))子供の出生届を出さないと、戸籍が作れない、という事を初めて知りました。しかも、法律上、戸籍を認めさせる抜け道がない事も。
純一は、高校進学したかったにも関わらず、無戸籍が理由で進学できず、その後の人生も上手く行かず、苦労に苦労を重ね、やっと手に入れた幸せ=家族だったのですが、ある理由で失踪します。その理由も、家族と関係ない訳ではないのですが、なんだか話を盛り込みすぎて、無戸籍だけにウェイトを絞らないと、頭がグシャグシャになる小説でした(私の頭が悪いせいかしら…)。