定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】二百十番館にようこそ

23/04/04_読破。加納朋子/著
ネトゲ廃人で自宅警備員の"俺"は、親しくもない叔父から離島の館を遺産相続する。館を見に行くだけの筈だったのに、親が姿を消し、実家は売却され、退路を断たれた形で離島に追いやられた"俺"は仕方なく離島の館での暮らしを始めた。
金銭面の不安解消のためにニート仲間を集めてシェアハウスを営むうちに、"俺"の人生が少しずつ広がってゆく。


就活に挫折して以来ずっと、実家でオンラインゲーム『ES』三昧の日々を送る俺に転がり込んだのは、伯父さんの遺産である『離島に建てられた館』丸々一棟。『無職から一転して不動産持ち、これからは課金し放題!』と浮かれて現地を下見に行った俺は、それが両親からの最後通牒である事に気づいていなかった。
『もう面倒見きれない。そこで一人で生きていけ』という手紙とともに、いきなり始まった強制自立生活!親から弁護士伝いに貰ったのは、生活費50万と米や食物。それも、島でネットゲームしたさに回線工事をしたせいで、半分以上のお金が飛んでしまった。焦った"俺"は、金銭問題を解決するべく、館に『二百十番館』と名付け、下宿人を募る事にしたが、集まってきたのは皆ワケアリの住人たち。
東大卒なのに重度のコミュ障で、母親から連れてこられたニートのヒロ。
訳あって医療の場から離れた元医者ニートのBJさん。
茶髪でイケメン、一見遊び人風のリア充・カインさん。
特技はアーチェリーで女性嫌いの色白マッチョ、サトシ。
元々ESで繋がっていたBJさんやカインさんに加え、ヒロやサトシもESに引き入れ繋がっていく人間関係。そんなゲームの中にあった人間関係は、島のおじいちゃんおばあちゃんを巻き込み、どんどんリアルの世界へと広がっていく。
人生に躓き、立ち往生していたニート達が、人と人との繋がりに触れ、やっと不器用にも歩き出す…。


主人公の"俺"だけでなく、コミュ障のヒロ、元医者ニートのBJさん、女性嫌いのサトシ。皆が人生に問題を抱え、そこから背を向けていた人達ですが、島での共同生活や、おじいちゃんおばあちゃん達と触れ合う間に、少しずつ成長していきます。ワタシ的には、料理上手で陽気でおしゃべり、みんなのオカン的存在のBJさんがとても気に入ってますが、"俺"君も、最後には凄く成長していて、親みたいな気分で読めました。
(まあ、うちの娘も引きこもりみたいなもんなので)


この話、個人的にとても好きです。興味を持たれた方は、読んでみて下さい。
ほのぼのとして明るい気分になれます!