定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】チグリジアの雨

23/03/10_読破。小林由香/著
高校1年生の航基は東京の進学校に通っていたが、母の再婚を機にある田舎町に引っ越す事に。転入して間もない学校生活は順調に進んでいたが、突然いじめのターゲットになってしまうが…。


高校1年生の航基は新しい学校でいじめにあっていた。いじめの理由は、新しい継父の同級生へのセクハラ疑惑。新しい継父は、なんと航基の学校の教師。航基に対するいじめはエスカレートし、航基は自殺を思い悩むようになる。そんな航基の悩みをよそに、航基から見る家族は幸せそうに映る。継父とラブラブの母親。そんな母親にベッタリの弟。航基の様子をそれとなく伺ってくれる祖父。航基は、自分がいなくなれば残りの家族4人は幸せに生きていけると考え、自殺を決行しようとする。しかし、そんな航基を制止したのは、航基のクラスメート_咲真だった。咲真は謎の多いクラスメートで、あまり登校してこない変わり者。その日も、クマのぬいぐるみを抱えており、クマを『カミ』だと言う。そして、自殺しようとした航基に対し、『今すぐ死ぬか誰かの役に立って死ぬか、どちらかを選べ』と選択を迫る。ひとまず自殺を延期した航基だが、そのままずるずると咲真のペースにハマっていく…。


なんか、咲真と航基の友情が良かった…。
冒頭のいじめの描写は、読んでいて辛いのですが、咲真と出会ってからの航基の心情の変化がとても良い。
航基(高校一年生のメンタルサイド)から見ると、自分以外の家族はうまく行っている様に見え、自分さえいなければ…と考えてしまうのですが、そんな事ない。みんな、家族を存続しようと無理を重ねています。弟が爆発するシーンでは、少し涙が出ました。
また、咲真がどんな気持ちで航基と接していたのかが、終盤で明らかになる所で、ぶぁーーーっと涙が(^_^;)
ティーン向け小説ですが、侮るなかれ。確かに、ラストの展開は読めるけど、十分満足できるいいお話ですよーー。
ちなみにチグリジアの花言葉は『私を愛して』『私を助けて』『誇らしく思う』『鮮やかな場面』だそうです。うむ、この小説のタイトルに相応しいな、と思いました。