定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】むこう岸

23/03/05_読破。安田夏菜/著
有名進学校の授業についていけず、公立中学に転校した山之内和真。父を亡くし、鬱病で働けない母と3歳の妹の世話をして生活保護を受けている佐野樹希。中学生の2人が直面する『貧しさゆえに機会を奪われる』ことの不条理。中3の少年と少女は、如何に貧困に立ち向かうのか。


医者の家に生まれ、父親から中高一環の有名進学校に入る事を命じられた和真は、鼻血を吹く程勉強し、志望中学に入学します。然し、流石に難関中学だけあって、和真は授業についていけず落ちこぼれてしまい、公立中学校に転入する事に。そんな和真が転校してきた学校の同じクラスには、生活保護を受け、キャパオーバー状態で暮らす佐野樹希がいた。樹希は小学生の頃に、父親に死なれ、何も出来ない母と、まだ幼い妹とで生活保護を受けて暮らしていた。樹希の母は、うつ病を患い、仕事も家事もしない為、幼い妹の面倒と身の回りの事は全て樹希が行っており、毎日疲弊する日々を送っていた。
ある日、和真は自宅で麦茶の容器に入っていた梅酒を飲んでしまい、そのまま塾へ。酔っ払って歩道橋から飛び降りようとしていた和真を、樹希が助ける。酔っ払った和真が口走った秘密をネタに、樹希は和真を脅し、樹希に懐いているアダムの家庭教師をするように命ずる。樹希とアダムのたまり場としている、『喫茶・居場所』でアダムに勉強を教えるようになった和真は、樹希達をの置かれている状況を知り、『生活保護』について学んでいく…。


この本、児童文学なので、とても読みやすくわかりやすい本です。
作中で、樹希は家にやってくるケースワーカーから『高校でバイトすれば、生活保護の金額は減る。高校を卒業したら、働き手としてみなされるので、大学進学への道はない』と言われ、絶望します。樹希は、そんな怒りを自分よりはるかに恵まれた状況にいる和真にぶつけますが、和真もそれを聞いて『それは絶対おかしい』と、樹希の為に?自分の正義感のために?深く『生活保護』について、学び始めるのです。
中学生の子がここまで頑張っている姿に、私め、思わず感動してしまいました。
和真を取り巻く環境も大分ヘビーなので、最終的には和真も救われると信じたいです。