定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】お誕生会クロニクル

23/02/22_読破。古内一絵/著
お誕生会が禁止された小学校、母が台無しにしたお誕生会、お誕生会好きの会社の上司、3.11に祝うお誕生会など。お誕生会をめぐる人間模様を描いた7つの短編集。


尚子の家族は父・母・祖母・尚子の4人家族。何故かいつでも貧乏くじを引く母。あの日の誕生日も、家族全員で遊園地に行くつもりだったのに、誰かが家に残らなければならなかった。母は尚子と一緒の遊園地を楽しみにしてたのに、結局母が残ることになった。後ろめたさを感じながら、母にと思って買ってきたお土産の万華鏡。だけど、母は『こんなの』と呟いたきり、冷蔵庫の上に上げっぱなしにして、一週間後にその姿を消した。数十年後、小学校の教員になった尚子。母が残した言葉の意味とは。…『万華鏡』


ゆとり世代と言われ、いつだって良いことがなかった美優。『お姫様』になりたかったのに、母は美優を縛り付けてきた。家を出たかった美優は高校生で結婚、子供も設け、幸せになる筈だった。年上で物知りと云うだけで当時魅力的だった夫は、大人になったら何だか興ざめしてしまい別居。可愛い娘の結奈と二人暮らしする美優だった。結奈は私に似て可愛いから、自分が歩めなかった道を歩んでほしい、という美優の思惑とは別に、結奈はどちらかというと夫よりの性格に…『月の石』


個人的には『ドールハウス』の主人公(中堅出版社の管理部長)が、小学生の娘の誕生日にに手作りドールハウスを作成するのですが、あげた瞬間『違う、そうじゃなぁい!』と叫ばれてしまいます。娘が欲しかったのは、市販のキャラ物のドールハウス。気分を害していた主人公ですが、途中、スマホのAIの活用を薦められ、AIに色々質問。しかし返って来る返答は見当違いで思わず、『違う、そうじゃなぁい!』と叫びたくなり、娘の気持ちが解ります。なんか『あるある!』って笑えてしまいました。


バブル世代・ゆとり世代・さとり世代。様々な立場の人物の悩みや葛藤と、それを取り巻く環境。すごく切実な筈なのに、お話の終わりには、価値観が変わってたりする、ほっこりするお話が沢山です。