定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】人形姫

23/02/13_読破。山本幸久/著
主人公の森岡恭平が社長を務める人形店は、創業180年の雛人形の老舗『森岡人形』で、恭平は八代目店主。しかし『森岡人形』には、売上の低迷や職人の高齢化による後継者不足など、問題が山積み。思い悩む恭平だが、更に自身の婚活まで加わった上に、フィリピン人の若い女性の弟子入りまで問題が重なる。
現在の人形業界が抱える問題を、恋愛も加えて、コミカルに描いたお仕事小説。


フィリピンから来た女の子、クリシアが人形師になりたいと弟子入り志願。恭平は後継者不足問題も視野に入れて、『森岡人形』でクリシアを修行させます。伝統的な人形作りに加え、3Dフィギュアクリエイターによる人形作成。
伝統工芸と昨今の人形作成、どちらも学んでいくクリシアの真っ直ぐな姿勢には、読んでいてワクワクさせられます。


後継者の不足する産業は人形界だけでなく、私自身がいる建設業界でも同じことが言われています。その為、建設業界では機械化やIT化が進められています。全くの他業界なのですが、人形界にもIT化を進めようとされているのを感じました。ただ、高精度な3Dスキャナと3Dプリンタがあれば、先人達の拵えた精巧な人形達が作成可能、と頭では理解できても、インフラ施設と工芸として数多の職人達の腕と協力を持って作成されて来た人形が、機械によって一元に作成されるのは、何だか温かみが薄れて勿体ないような気がしました。