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【読書感想】かぞえきれない星の、その次の星

23/02/12_読破。重松 清/著
大切で大好きな相手であればあるほど、会えない。コロナ禍における人々のこころとふれあいを描く短編集。


単身赴任先から帰れず、画面越しで会話する父子の話。自身はミックスルーツで外国人国籍の母親を少しだけ疎ましく感じる娘のお話。新しく「ママ」が出来た姉弟に来るお盆のお話。桃太郎の「鬼退治」は実は…というお話など、盛り沢山
の本です。
個人的には、ラストの『かぞえきれない星の、その次の星』が気に入ってます。
気がつくと主人公の『ぼく』は夜の砂漠にいて、『おじさん』と出会います。『ぼく』は、同級生が虐められているのを気にしながらも、何も出来ないまま、砂漠に来てしまうのですが、それについて『おじさん』と色々と話しをします。
『いじられる』と『いじめられる』はどう違うのか。『本人が笑っているから、嫌がっていない』…本当にそうなのかな?『ぼく』自身は、ずっとずっと心のなかで自分にそう言い聞かせて言い訳してきたけど、本当の気持ちはどうだったのか。『おじさん』は『ぼく』に、今ならまだ間に合う、と教えてくれます。そんな『おじさん』は、小説家で、自分の家族をモデルにした小説を世に発表していますが、その家族はとうに亡くなっていて、お話の上で、自分の家族を幸せにしようとします。目覚めた『ぼく』は、行動するのです。


まさに重松清らしいお話だと思いました。
全体的に読んだ後、何とも言えない気持ちになるのですけど、数年後、この話を読んだときに(コロナの事が過去の話になった時に)、軽い気持ちで読み流せるような世の中に早くなって欲しいですね。