【読書感想】不可逆少年
23/20/12_読破。五十嵐律人/著
動画配信で、男性三人が殺され、女子高生も毒殺されかけ、生き残る事件が起きた。
狐の面をつけて、自身犯行を動画配信したのは、十三歳の少女だった。
刑法上で処罰されない刑事未成年者。
唯一生き残ったのは、犯人の姉。果たして、
十三歳の少女は更生出来るのか…。
男性三人が殺され、女子高生も毒殺されかけたが生き残る事件が起きる。狐の面で犯行を動画配信したのは、十三歳の少女だった。
十三歳といえば、刑法上で処罰されない刑事未成年者である。
この、事件で助かった女子高生は、犯人の
実の姉だった。
この事件は、世間からフォックス事件と呼ばれ、全国的に知られる事となる。
実はこの事件の被害者となる、姉と、この
事件の犠牲者となった男性達の子供は
同じ中学に通う同級生だった。
後日、事件の犠牲者の子供が、とある事件を
起こす。少年犯罪の弁護士として、担当に
なった真昼は、思い悩む。
彼は「やり直せるから、少年なんだ」と
いう信条を持っていた。
しかし、真昼の上司は『生物学的要因で更生できない、元に戻れない不可逆的な存在がいる
(その存在を即ち、不可逆少年と呼ぶ)のだと言い切る。その考え方は、『教育による
更生を旨とする少年法』に反するのだが、
あまりの凶悪事件に対し、真昼は自身の
信念が揺らいで行くのを感じる。
事件の背景を調査していくうちに、フォックス事件の被害者の子供達は、皆事件の被害者から虐待されていた為、自分を虐待した男を殺した犯人に感謝している子供もいる為、被害者遺族としての思いは一様でない。
被害者遺族の一人は、被害者が行っていた、
覚醒剤に溺れ、電車内で不特定の女子高生の
髪を切る犯罪を起こしていた。
そして、その周りにいる人間は、その行為を
何とかやめさせ、更生させたいと足掻いて
いた。
そんな、皆んなの思いが絡み合って、
難解な事件を引き起こす。
果たして真昼は、少年達を救う事が出来るのか?
十四歳以下の殺人は、罪に問われないという
法律をテーマにした嫌な話です。
動画で公開され、無罪に公開処刑された
3人の男は、それぞれ自身の身内だったり
する中学生を虐待し、世間では普通に
生きていました。
そんな人間を処刑するなんて、いいじゃない。
と、考えるのは簡単ですが、実際に世から
排除してしまうには、法律に抵触してしまう
のですが、その法律をすり抜けてしまうのが、
十四歳以下の未成年。
読んでて、自分の子がこれだったらどうしよう
、と薄寒くなる小説です。
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