【読書感想】架空の犬と嘘をつく猫
23/09/23_読破。寺司はるな/著
空想の世界に生きる母、愛人の元に逃げる父、その全てに反発する姉、そして思い付きで動く適当な祖父と比較的まともな祖母。そんな家の長男の山吹は、幼い頃から皆に合わせて成長してきた。だけど大人になり彼らの《嘘》がほどかれたとき、本当の家族の姿が見えてくる。破綻した嘘をつき続けた家族の物語。
羽猫家は壊れている。
羽猫家の長男、山吹。家族構成は、祖父、祖母、父、母、姉。そして、幼い頃死んでしまった次男の青磁。祖父は昔から思い付きで商売を
始め、すぐに店を潰してしまう。祖母は至って普通だが、自身が会社を経営しており、家に
寄りつかない。母親は、子供の頃に死んでしまった次男の青磁を生きている、という人生を歩み、そんな妻を受け入れられない父親は、スナック店主の女性の元に逃げ込む。更に、そんな家庭にいるのが辛い姉は、失踪してしまい、
山吹は1人、家族と向き合う。
これだけで、山吹のしんどさが伝わってくる
のに、高校受験間際になって入った塾で出会った少女の辛い人生に同情し、彼女の役に立とう
とする山吹。歳を重ねるに連れ、様々な事を
学び、結婚したいと思う相手と出会うが、
山吹の周りはすんなり山吹を祝福してくれる
筈もなく…。
ひたすら山吹が不憫。弟が死んだ事実を
受け入れない母親に、死んだ弟になりかわって
手紙を書き続け、『それが鼻につく』と、唯一
山吹を守ろうとしていた姉は家を出てしまう。
祖父は死に、近隣一帯に羽猫一族はおかしな
家庭と評判が流れる。他の家族がどう思おうが
山吹にとっては家族。捨てられないまま大人に
なる山吹。大学生時代のバイト仲間と恋仲に
なるが、直直ちょっかい出して来る、初恋の
『可哀想な境遇の女』
あー、もう、可哀想な境遇の子供書かせたら
寺司はるなさんは天下一品だと思う(・・;)
山吹が最終的に幸せになれるのか、気になる方
は読んでみてください。因みに、山吹は男です
(最初、名前だけみて、女の子だと思って
ました)
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。