定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】とわの庭

23/03/28_読破。小川糸/著


帰って来ない母を待ち、『とわ』は一人生き延びる。不幸な生い立ちの盲目の少女が賢明に生きるお話。


主人公のとわは屋根裏部屋や地下室、庭のついた一軒家で、母と二人で幸せに暮らしていました。とわは生まれつき目が見えず、母に世話されて生活していましたが、ある時から母が働きに出ます。とわが一人で留守番する時間がどんどん増えていき、母ととわの幸せな生活に変化が訪れます。
自分で身の回りのことが出来ないとわは、オムツをあてがわれ、母の外出の際には睡眠薬を与えられ留守番させられるのです。働きに出る回数が増えるに連れ、母はだんだん壊れていき、やがて家に帰って来なくなります。母を思いながら、とわは賢明に待ち続けます。母の言いつけを守りながら、たった一人残された家で。目の見えない暗闇の中で。


読み初めはなんだかおとぎ話みたいに牧歌的で、ほわほわしたお話なのかと思いきや、途中で様子がガラリと変わり、凄い嫌なテイストに…。『とわ』は母親からの言いつけを律儀に守り、決して外に出ず、誰かが訪問してきても息をひそめ、週に一度、オットさんなる人が届ける物資だけを頼りに、一人5年も生きのびます。この時点で、痛々しすぎる…(;_;)
やっとの事で意を決し、外に出てきたところを近所の人に発見され、保護されます。
『とわ』は母がこっそり生んで育てていた子で、無戸籍児。『とわ』の存在は近所の人にすら知られていなかったのです。『とわ』はここでやっと世間を知り、教育を受け、一人の人間となり、母と住んでいた家に戻って一人暮らし(盲導犬付き!)を始めます。


やっと自由を得てからの『とわ』の前向きな人生が、読者に力をくれる一冊…なのかな?