定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】じい散歩

23/03/03_読破。藤野千夜/著
明石家は夫婦あわせてもうすぐ180歳。3人の息子は全員独身で変わり者。家族の可笑しみや、さりげない優しさを描いた現代家族小説。


主人公は明石家の家長の新平、御年89歳。散歩を趣味とする苦労人。この小説は、そんな新平と、新平を取り巻く家族の物語。新平の奥さんは、一つ年下の88歳で、食道楽で体を動かすことが嫌い。長男は高校半ばから引きこもりで、次男は自称長女。三男は、アイドルの撮影会をプロデュースする会社を経営していますが、ずっと赤字で明石家のお金を食いつぶす、巨漢。そんな明石家ですが、奥さんが毎日散歩と称して出歩く新平の浮気を疑い出します。突き詰めていくと、奥さんは認知症が始まっており、そんな奥さんを世話するのも、やはり新平しかいないのです。何かと世話を焼いてくれる自称長女の次男も、(恐らく)恋人との生活が大切なので、あまり頼りになりませんし、長男、三男はもっと頼りになりません。それでも、家族仲良く生きています…、というお話(なのかな?)


主人公の新平さん、大変な苦労人で、奥様と結婚する為に実家と縁を切り、奥さんのお姉さんと奥さんと同居し、独学で建築士を取得して建設会社を立ち上げ、経理を奥さんに任せ、三人の子供を育て上げます(いや、育て上げたのは多分奥さん)今現在は悠々自適、毎日散歩を日課とし、趣味の部屋と称してアパート一室を借り、趣味のエロ記事をスクラップする毎日(←アホか)まあ、奥さんものんびりと余生を過ごしているみたいなので、とても幸せそうな老後の過ごし方だと思います。……自活できない長男と三男を抱えていなければ!いや、ホントに。
自分ちもこうなったらどうしようと毎日心配してますよ!私は。けれども、新平さんも奥さんも、三人の息子に関しては、気をもむ素振りもなく、ただただ楽しく暮らしているようで、最後まで穏やかな小説でした。こういうふうに生きられたら良いな…と感じるお話でした。