定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】コンビニ・ララバイ

22/10/28_読破。池永陽/著
お人好しで商売気のない店長、訳ありの店員や客の人生を描く、小さなコンビニで起こる7つの物語。


主人公の幹朗は小さなコンビニ『ミユキマート』を経営している。幹郎は妻と子供を事故で亡くし、全てにやる気がない。
そんな幹朗を支えてくれるパート社員の治子。そんな治子に思いを寄せるヤクザの八坂。ミユキマート常連のホステス克子。同じく常連で劇団員の香子。ミユキマートの万引き常連の女子高生や、ミユキマート前のベンチで愛を育む老カップルなど、この『ミユキマート』を軸に色々な物語が展開していきます。


どのキャラクターの話も色々考えさせられるのですが、老カップルのお話が印象的でした。男性が志賀さん。女性は和子さん。和子さんは狭心症を患う一人暮らしの御婦人。方や志賀さんは息子家族と同居中。二人はコンビニ前で出会って恋に落ちますが、そんな二人を志賀さんの息子夫婦は猛反対します。特に息子の嫁は『汚らしい』とまで言い切り、大学生の息子をコンビニ前まで偵察しに行かせ、邪魔させます。二人の関係は極めてプラトニックで、手すら握りませんのに。志賀さんは、嫁の反対は『遺産が減るから』と推測します。と、まあ、ありがちな嫌な話なんですけど。


皆様、親の遺産とか期待したことあります?うちの弟も自分も割りとドライなので、もし父親が死んだら、母親には勝手に家も土地も処分して自分で施設にでも入ってくれ、とか思っています。面倒くさいし、そういうの。そのために毎日節制しとるし。まあ、祖母が死んだ時に、親族がもめにもめて、今や没交渉なので、分からないのでもないのですけど(^_^;)
金が絡むと人間怖いですからね~。ま、親といえども他人なので、人の金は期待しないに越したことはないと思います。
でも、自分が老カップルの立場だったら、煩わしいですよね。


その他にも、彼氏に援交させられていても愛を感じている女子高生やら、ヒモに酷い目に合わされながらも、分かれることが出来ないホステスさんの話など、悲しい立場の人がたくさん出てくるのですが、『ミユキマート』がほっこりと癒やしてくれる…そんな話が沢山詰まった本です。


何故だか昭和ノスタルジーを感じるお話でした。