定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】世界で一番のクリスマス

22/10/12_読破。石井光太/著
風俗業で生きる女と男達の心情を描いた短編集。


表題の『世界で一番のクリスマス』は、1980年代の上野界隈にある父親が経営するフィリピンパブの二人の姉妹の人生のお話。姉は自由奔放なフランス人のような美人。妹は真面目でおとなしく、ごく普通の少女。
妹は家業や姉のせいで、組友からも阻害され、父親の借金苦による自殺の折に、家を出て保護施設で暮らすも、姉が度々訪問に来るので気が休まらない。そして、亡き父お店を盛り上げたり、賢明に奔放に生きてきた姉はAV女優として大成してしまい、又も妹は居所を失い、二人は袂を分かち絶縁状態となる。
そして数年後、疎ましくて仕方がなかった姉のもとに妹が訪ねてくる。


恐らくこの話の主人公の妹は、普通故に普通に生きたくて努力を重ね、それ以上の苦労を重ねた子。最終的にはシングルマザーとなり、固い決意のもとに生んだ子は病気で、普通の子には一生なれない。なんか不幸のどん底みたいな子です。
方や、姉は子供の時から社交的で開放的。弱き者の味方で、頼られれば絶対に力を貸し、歌が好きで超美人。みんなに愛されて、基本中心人物として育つ。そんな姉が、歌手になる!という夢は何処に行ったのか、いきなりAV嬢デビュー。
そりゃ、妹も頭抱えますって…(^o^;)
しかも、施設にしょっちゅう来るから、お姉ちゃん自身は人気者かもしれんけど、
施設の男の子連中はお姉ちゃんに夢中、彼氏はAVの妹なんて…と、妹を振るわ、妹踏んだり蹴ったりです。
最後まで読むと、姉のほうが何を考えて(いや、今一分からんかったけど)生きてきたのかがようやく分かって、妹と和解する…はずの話。


姉が何を考えていたのかは不明だけど、アメリカンなビッグマミーみたいな人だと思う。
妹はもうな、『強く生きろ…(目頭を押さえながら)』としか言いようがない。


全編通じて、水商売の子達の苦労が描かれてます。
……強く生きろ……_| ̄|○