定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】赤ちゃんをわが子として育てる方を求む

22/10/10_読破。石井光太/著
産婦人科医の菊田昇は、望まぬ妊娠をした女性と子どもを望む夫婦の橋渡しを始める。国を相手に闘い『特別養子縁組制度』の成立に人生をかけた男のお話。


主人公の菊田昇の生い立ちは、石巻の女郎屋に生まれ、商売を女手一つで切り盛りしている母親に変わり、女郎として売られてきた姉妹に育てられる。姉妹の妹は、女郎として働くうちに、二回目の中絶で命を落とし、姉は梅毒で孤独にお助け小屋で
死を迎える。そんな悲しい女性を助けるべく産婦人科医になります。産婦人科医を営む内に、月齢7ヶ月迄の中絶は法律で許されるが、月齢7ヶ月の子供は未熟児でありながらも産声を上げて生まれる子もいる為、死産だったとして産婦人科医が暗黙秘で子供を殺す、という事実と向き合います。折角命を持って生まれてきた子を殺さなければいけない(=違法)事に疑問を持った菊田は、不妊症で子供の出来ない夫婦に、望まれない出産で生まれてきた子供を斡旋する事を思いつきます(もちろん違法)
なんていうか、こんな事が普通に行われてきたのだな、という事がもう嫌。でも、様々な理由により望まれない出産をする女性が、好きで子供を中絶しているわけでもありません。そして、どんなに不妊治療を受けても子供が授からず、子供を切望する夫婦も沢山いる。このお話は、そこの矛盾を解消しようと、自分の人生を掛けて、法律改正に立ち向かった産婦人科医の
お話です。
淡々と読めます。感動…とも違うけど、とにかく凄い、と感心するお話。