定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】グランドシャトー

22/09/18_読破。高殿円/著
日本中が高度経済成長に沸く昭和38年。大阪京橋のキャバレー「グランドシャトー」に流れ着いた家出少女のルーは、
ナンバーワンの真珠の家に転がり込む。下町の長屋に住み、ささやかな日常を大切にして暮らす真珠を家族のように慕う、ルーは人を楽しませる才によって店の人気者となる。昭和から平成へ生き抜いたふたりの女性の生き方を描いたお話。


よかったです!ルーと真珠のやり取りが特に。父親が急死して子供3人の母子家庭となり、疲れ果てた母親に差し伸べられたのは、昭和にありがちな、跡継ぎを生むこと前提の結婚。跡継ぎが出来ない母親に代わって、18歳のルーを息子の嫁に…と言う話を聞いた母子はルーを頼みの綱の親戚のもとに逃します。が、その親戚?の家は既にそこに住んでおらす、ルーは単身困り果てて、キャバレーに努め始めるのですが、将来の気の強さが災いしてうまく行かず、路頭に迷う羽目に。そんな折に、声をかけてくれたのは、一見地味な年齢不詳の女性、真珠。真珠の母性とルーの母親?恋しさが合致します。昭和に生きた二人の女性の生き方・感じ方。ルーの真珠を慕う心。真珠の頑なにグランシャトーを離れない生き方。
数十年間キャバレー『グランシャトー』のNo.1ホステスにいながら地味に生きてきた真珠のお金の使い道が終盤に明らかになるのですが、ホント、真珠さんは菩薩様の様な方です。
そして、時代を生きたルーの人生。いつか母親と二人の弟を、自分のもとに呼び寄せて安穏と暮らさせたいと思っていたのに、出生して家族に連絡を取ったら、家族の生き方が変わっていて、自分は存在してはいけない親族になっていて、(このあたり、水商売の親族は身内の恥という昭和的な話)大阪から東京に転出するのですが、本当に可哀想で。
ルーが真珠を求めたのは、母親の面影を求めていたのかも、と考えてしまいます。


とにかく、読み終わった後、何とも言えなくノスタルジックな気持ちにさせられたお話でしたが、良いです。オススメです。