定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】避難所

22/12/23_読破。垣谷美雨/著
東日本大震災で露わになった家族の実像。段ボ-ルの仕切りすらない体育館で『絆』を強要される3人の妻たちの胸中に迫り、震災の真実を描いた話。


上で書いた通り、3人の主婦が主人公で話が進みます。
1人目は酒屋でパート努めをしていて、お使いを頼まれた先で津波に巻き込まれ、一命をとりとめた椿原福子。津波で流された彼女は、命辛辛引っ掛かった家の二階で救われ、同じ様に流されて来た少年・昌也を助け、その後避難所まで道行を共にします。
2人目は古き良き農家の次男に嫁ぎ、子供が生まれた直後に震災に見舞われた、美人の漆山遠乃。乳飲み子を抱える遠乃は、
舅と義長兄と乳飲み子の智彦と避難所に辿り着きますが、その容姿故、人からの注目を浴び、舅と長兄からの男尊女卑的扱いに疲弊しています。また、長兄から狙われています。
3人目はシングルマザーとなり地元に戻ってきて、母と二人料理屋を営みながら小学生の息子(⇒昌也)を育てている山野渚。田舎故の水商売に対する蔑みを受けながら、震災で母と店を無くし、避難所に昌也を探して辿り着きます。この3人の女性は立場は違えども、同じ避難所で互いを認め、互いを気にかけながら生活します。
福子の旦那は何故か津波の中生き延び、義捐金を贅沢品に替え、福子の下に戻ってきます。夫が死んだと喜んでいた福子は、元の地獄のような日々に戻されます。
遠乃は夫を無くし、その弔慰金は義舅に搾取され、義長兄と結婚させられそうになり、絶望的な将来を予期します。
渚は弔慰金と義捐金を貰いますが、昌也は学校へいかず、再就職の手も無く先々の生活に途方に暮れます。
そして、思い悩んだ三人は、未だ東京で空き家となっている福子の長男の嫁の実家に移り住むことを決意します。


3種3様の生き方ですが、まず感じたのは田舎の生活の息苦しさ。私が住んでいる所も都会では全く無いのですが、此処まで酷くはないな~と。また、就職先もなく、世間の噂が煩わしい。女は男の庇護下にあるべし、みたいなのが未だに横行する地域があるなんて、ホントに信じられないくらいです。また、避難所や仮設住宅の酷さ。震災ボランティアの質の悪さ(一部だと思いたいですけど)。
今現在、私の地元も大雪で各地域に停電世帯が出て、折角のクリスマスに避難所生活を余儀なくさせられている人達が居ます。たとえ一時的なものとしても、避難所で赤の他人との生活は、耐え難いものかと思います。早く大雪が収まって、普段の生活に戻れますように、と願わずにいられません。


結構色んな本を読んでて思うのですけど、極限下における人間の本性って最悪で、一部であってほしいと思うけど、被災なり何なりのドサクサに紛れて悪いことをしだす人間が、物凄く嫌ですね。その反対に、極限下にあって、物凄く人間の善性を出してくる人もいます。自分もなるだけ『善性』を持った人間になりたいと思うのですが、どうだかなぁ…。