定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】十年交差点

22/12/07_読破。中田永一/著
「10年」をテ-マにした5人の人気作家のアンソロジー。中田永一 , 白河三兎, 岡崎琢磨, 原田ひ香, 畠中恵の5人の先生方の作品が収録されています。


『地球に磔にされた男』中田永一/著
ある男が、形見分けに金目のものだと思い、金の懐中時計を手にしたが、その懐中時計は10年後に行って、戻ってくるという代物。行く前の人生と違い、幸せな人生を送る自分が居たら、入れ替わってやろうと考える男だったが、思うように行かず…。最終的に自分の選んだ人生とは…。
▶最後の最後に選んだ人生が、結構切なかったです。不幸だけど幸せが残ってるというか。いい話だと思います。
『白紙』白河三兎/著
中学教師の主人公は、ある女生徒が最近イキナリ生活態度が変わり、身辺調査を始めます。女生徒は『10年後の自分へ』という作文を書くのを拒否しますが、教師と話し合い、一旦は作文を完成させるのですが、教師の一言で、改めて作文を書き直します。書き直したこと=彼女の人生がガラリと変わってしまいます。
▶話が読めていただけに、この教師のボンクラ加減が(^_^;)文章がコミカルで、この男性教師の頭の中がすごくギャグで面白いのですが、途中で『あーーー!!バカ~!!』となること請け合いの嫌な話…_| ̄|○
『ひとつ、ふたつ』岡崎琢磨/著
あるアクセサリー作家の女性の悩みの話。ターナー症候群である彼女は恋人に裏切られた過去を持ち、今の恋人との様態にいまいち踏み込めないでいた。そんな時、彼にプロポーズされるが、咄嗟に断ってしまう。彼女の恋の行く先は…。
▶ターナー症候群という病気?を初めて知りました。子供を生む事だけがが女の幸せじゃないじゃない、ていうのは、子供が産める体で生まれてきた人間の欺瞞でしかないのかもな、と考えさせられました。
『君が忘れたとしても』原田ひ香/著
死んだ姉の代わりに義兄と協力して子供を育てる結美子。結美子は甥っ子である壮真の事を実の子の様に愛していたが、義兄に添おうとまでは考えていなかった。そんな矢先に、義兄に恋人が出来た。義兄の恋人は、結美子が壮真と会うことを嫌がり、義兄との結婚を機に、結美子の手の届かない所へ引っ越していってしまう。そして10年後、義兄から手紙が届き、結美子に会いたいと言うが、結美子は…。
▶結美子は壮真の為に、時間の都合が付けられるパートに転職したり、義兄と同じマンションの別室に住んだり、本当に義兄家族に尽くした挙げ句、引っ越されてしまうので踏んだり蹴ったりなんですが、壮真への愛が深くて泣けます。最後に成長した壮真は何を思うのか…。読者にその後を委ねる作品ですが、切ないお話で良いです。
『一つ足りない』畠中恵/著
九州の河童を束ねる九千坊。ある時、九千坊が大陸から持ち帰った秘薬を、河童と相性の悪い猿達が狙い、人間を味方に付け、攻め入ってきます。その争いは、関東の河童を束ねる寧々子親分をも巻き込み、大騒ぎに発展するのですが…。
▶流石、畠中先生はブレない…。ここまできても、河童と猿の争いですよ!?しかも、ちゃんと読ませるし、魅せる。
寧々子親分がチートで強すぎるので、猿達の存在が居ても居なくてもどうでも良いのが、何だかなぁ…なんですが、畠中恵の妖怪文学ここにありです。安心して読める平和さが好き♡