【読書感想】善医の罪
23/09/05_読破。久坂部羊/著
彼女は善意の名医か、患者を殺した悪魔なのか?現役医師が圧倒的なリアリティで描いた、スリリングな医療小説。
蜘蛛膜下出血で意識不明の重体で運ばれてきた横川達男。彼の担当医であり執刀医の白石ルネは、常々達男から、延命治療はしないで欲しいと乞われていた。実際、重体の達男に対し、
これ以上の延命治療は難しいこともあり、治療を中止する子を決意する。そんな中、達男が
苦しむ姿に耐えられなくなった家族は
治療をしない事に同意し、ルネは横川を尊厳死に導く。
数年後、ルネが勤める病院に流れてきた麻酔科の医師は、自身にコンプレックスがあり、ルネ
の事が気に入らない。何とかルネを貶めよう
と画策する。そして、とうとう達男の尊厳死
の過去に辿り着き、達男の執刀の際のルネが
記したカルテと、立ち会った看護師のメモが食い違っている事を発見し、院長に恐喝まがいに告発する。
メモによると、ルネは患者に筋弛緩剤を静脈注射したというが、ルネは絶対にそんな指示は出していないと突っぱねる。
事態は病院中を巻き込んだ大問題になり、やがてマスコミに内部告発が行われ、ルネは達男を
殺害した容疑者となってしまう。
当時、ルネに感謝していた達男の遺族は、
賠償金目当てに掌を返し、ルネを告訴する事に。更に、自己防蟻の為、院長、副委員長、看護師長等、かつての同僚は全てルネの敵に
なる。
果たして、ルネは罪を逃れる事が出来るのか?
嫌な話です。主人公の白石ルネは、母をガンで
亡くしています。母は尊厳死を法的に認められた国の出事である為、母の闘病から死に至るまで、深く考えて育って来ています。
そんなルネが担当医をしている横川達男は、
自身のいとこが、延命治療により、意識ないままボロボロになっていく様を見ていた為、
自分の時は、延命治療しないで欲しいと
ルネに頼んでいました。
そんな達男が危篤状態になり、話が進み出す
のですが、達男の意思が全く家族の誰にも伝わって無い為、大混乱。やっとこ死に至り、家族も納得して数年後、達男の息子の元に、
達男の死はルネが人為的に齎した物だという
告発文が届きます。達男の子供は、本来は
達男の死に納得していたのですが、外に恐ろしきは他人。達男の長女の元旦那が、賠償金目当てに、達男の長男に色々吹き込み、やがて長男も、金欲しさにルネに牙をむきます。
何というか、人間の浅ましさが描かれたお話。
本筋は、日本の医学会における尊厳死について
ですが、私は個人的に祖母が亡くなった時の
親戚筋のいざこざを思い出しました。
外に恐ろしきは金に目が眩んだ身内ですよ。
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