定年まであと何年?

あと何年働いたらリタイアできる?をモットーに生きるアラフィフの日々のつぶやきです

【読書感想】できない男

23/04/13_読破。額賀澪/著
恋愛も仕事も冴えない地方在住デザイナーが、ひょんなことから地元の農業テーマパークのコンペに挑戦する事になる。『できない』自分を卒業できるのか?大人の青春小説。


地方の広告制作会社で働くデザイナーの芳野荘介は28歳になるまで恋人もおらず、仕事にも行き詰まってしまっている『できない男』だった。ある時、地元の夜越町と大手食品会社のローゼンブルクフードが、地元に農業テーマパークの建設を計画する事になり、荘介の会社もテーマパークのデザインコンペに参加する事に。コンペ自体は、荘介の憧れの超一流クリエイター、南波仁志の会社である OFFICE NUMBER が勝ち取り、そのまま農業テーマパークの企画をすることになったが、何故か地元のデザイナー枠として荘介が農業テーマパーク『アグリフォレストよごえ』のブランディングチームに、放り込まれる事に…。


一方、南波の右腕としてブランディング事業の現場担当を務めるアートディレクターの河合裕紀。33歳の彼は、以前交際していた彼女から二股をかけられていた、二股相手の賀川と意気投合し、遊ぶ事を唯一の息抜きとしていた。仕事は超有能。様々な女性と『親善試合』という名の軽いお付き合いを繰り返しているが、河合もまた、独立や結婚等、その先の人生へと踏み出す覚悟の『できない男』だった。
しかし、荘介が OFFICE NUMBER に来るようになり、色々な仕事をこなしたある日、自分を頼りにしまくっているであろう南波に『独立しろ』と言われる。更に、イタリアンレストランのオーナーをしている賀川が、地元に店を移る決意を語り出した為、裕紀は選択を迫られる。


山と田圃しかない夜越町で出会った、対照的な二人の『できない男』達が、自身が抱えるダメさと格闘しながら、成長していく、大人による大人のための青春小説。


主人公の芳野壮介は、地元で生まれ地元で育ち、地元で就職の地味な青年。方や河合裕紀は東京生まれの東京育ちのリア充な青年。この二人が一緒に仕事をしていく内に、周囲の人に刺激されてすこーーーしづつ成長していく様子が楽しい。
壮介は OFFICE NUMBER のナチュラルパワハラ女、春希に鍛えられてメンタルも仕事も鍛えられていく。方や裕紀は賀川や南波に肩を押されながら、自分が実は何を考えていたのかを自覚していく。どっちも凄く年下なので、『若いって良いよね』としか思えなかったけど、春を感じる(フレッシュ?)楽しい本です。


最近、重い本が続いたので、このお話は丁度よい明るさでした。